HISTORY
『 酒井 愁 - HISTORY 』

「インディーズ編・"選んだ道は渡り鳥"」


〜第五章〜



俺はANGELとのバンドに心は既に魅せられていた。

JACK BLUEとしての活動をしながらも曲作りのリハに入る準備等を進めていたのだ。

ANGELがヴォーカル、俺がドラムでギターは俺とANGELを引き合わせたその男が連れて来たDEAD ENDのローディーをやっていたと言うOZZYと言う男が決まった。

もう既にこのツッコミ所満載であるネーミングにはさほど気にもならなくなっていたのは俺も否めない(笑)
ここで問題が発生する。
その俺達を集めたその男はベースだったのだが…

ビックリするくらい弾けなかったのだっ!!

迷わす冷血にクビを切る(笑)

ベーシストを探す事になったがすぐにANGELと共にアルカロイドをやっていたAKIRAと言う男がメンバーに加わる。

バンド名は“REDRUM”と決まる。
逆から読んだら“MURDER”殺人鬼である。

猟奇的でメタルっぽくてそれだけで満足したりする(笑)

俺はJACK BLUEを脱退する事を決意する。

しかしJACK BLUEはライブステーションのある大きなイベントに出演させて貰う事が決まっていて、俺はそのイベントが終わった後に脱退の意志を伝えようとしていた。
そのイベントでの共演はキラーメイ、TILT、女的〜ガールティック〜と言った当時客を確実に呼べるバンドばかりだった。

余談だがこの当時の事をキラーメイのメンバーであったエマさんにツアーで一緒になった時に聞いた事があるがサッパリ覚えてないと言われショックを受けたものである(笑)

このライブの時に俺はある男に話し掛ける。
あの異様なオーラを放つあの男にそっくりな男だ。

「アンタもドラムだったのか?」

そう話し掛けたのは当時、女的のドラムのJUN氏。
後にレディースルームに加入する男であった。
大きめのコンチ帽を被り金髪を横に流し垂らしたそのスタイルは忘れもしないあの男にそっくりであった。
その直後辺りからhideさんのプライベートのスタイルはインディーズシーンで流行となり色んな所で溢れかえるのだが特にJUN氏は当時会うと最初どっちと会ったのか解らない程似ていた(笑)

「多分その人はエックスのギターのHIDEさんだよ」

そう言われた時

「へぇ…ギター…またそのバンド名か…何処かで聞いた様な…」

まだまだROCKシーンに無知な俺はそんな解釈ぐらいしかしなかったのだ…

そのライブを終えて俺はJACK BLUEに脱退の意志を伝える。

初めて俺をドラマーとして見出だしてくれて誘ってくれて散々世話になった井沢さんにこの旨を伝えるのは本当に心が痛んだが、佐野に皮肉とも嫌味ともとれる一言を言い放たれた瞬間にその想いはフッ飛んだ。
だがあくまでもミュージシャンとしての方向性や価値観の決裂だ。
家を出る前に直美さんに何度も言い聞かされて来たから感情的な行動には至らなかった。

長い時を経て佐野に再会した時に

「引き留めたかったけどあの時は自分の中で何かが邪魔してそれが出来なかった」

と聞いて驚いたものである。
お互い若かったのであろう…
その言葉を聞いて一気にお互いを燻っていた何かが浄化された気がした…。

長く生きてみるものである…。
だからこそ15周年ライブには佐野には是非とも出演して欲しかったのだ。

当時の俺はバンドを辞めて晴れやかな気持ちで一杯だった。
これで俺はメタリストだと(笑)

しかしREDRUMの曲作りは難航した。
何しろ各々がやりたい事がてんこ盛りでまとまらなかったからだ。
様式美志向のOZZYとスラッシュ志向のAKIRA、デス志向のANGELが対立しながら曲を作るのだが俺は一括りでメタルはメタルだろうから早くしろよ!その中でチマチマ細かい事言ってんな!と相変わらず大雑把で他人事であった。
大音量で叩き踏みまくれればそれで何でも良かったのであろう。
早くライブやらせろ!…と。
初ライブはANGELやAKIRAが顔馴染みの国分寺モルガーナでひっそりと試運転する事になったのだがその出来は決して悪くは無かったがその一回のライブ後にAKIRAが辞めると言ってきた。
どうやら本当にOZZYと合わなかった様だ。
この時は

「辞めたい奴は辞めりゃいいんだよ」

と奴の気持ちがサッパリ解らなかったが、後にそのモルガーナで出会って打ち上げの席で俺と意気投合した男、HIYORIと共にAKIRAが組んだバンド、ユースクエイクであるイベントで再会した時に

「そりゃ辞めるわな」

とその数年後に納得したものだ(笑)

後任にはLAY(本名まなぶ)と言う男がANGELの知人の紹介により決まった。

REDRUMはOZZYの様式美志向がどんどん強くなりANGELのキャラクターやスタイルを充分に引き出す事なく中途半端なバンドになりつつあった。
しかしそんな事は当時の俺には気付く訳もなかった…
家でリハの音源を聞いていると直美さんが

「ねぇ…前から思ってたんだけど、このバンドって何がやりたいの?折角のANGELさんの歌やキャラクターが生きて無いんじゃない?ドラムもありきたりでつまらない気もするし…」

と言った事をきっかけに初めて気付く俺…

俺はANGELとLAY(本名まなぶ)と話し合いOZZY(本名忘れた)にバンドを去って貰った。
そして新たにオーディションによりギターにSEIJIを加えてREDRUMは曲をもっとコアにし鹿鳴館を拠点に動き出すのだった。

そんな最中俺を含めた長髪や髪を染めた連中全てが楽器屋をクビになってしまう!
本社の方針により井沢さんも新山くんも全員がクビになってしまったのだ!

途方にくれながらもバイトを探すも時代にしてなかなか長髪で髪を染めてる男にはバイトを見つけるのが困難であった。
しかしバンド活動の歩みを止める訳にはいかない…。
彼女の、直美さんの支えが無ければこの時点でアウトであった。

そして悪戦苦闘しながらも見つけたバイト…
これが傑作であった!(笑)

そして活動の拠点を鹿鳴館に移した時に俺はまたあの男と遭遇する。

そして一触即発の事件が起こるのだった。